待てなかった三分
こんなことを思い出します
道をあるいていて
急に食べたくなりました
その頃はよく、歩きながら食べていました
ポケットや鞄などに食べ物を隠して
こっそり口に運びながら歩いたものです
そのときも
道を歩いていて食べたくなって
たまたま目の前にあったコンビニに猛然と押し入りました
過食したくなったときの気持ちというのは
自分と食べ物の間にあるもの
たとえそれがどんなものであってもなぎ倒してやろうと
固く決心した荒々しいものです
それから、たぶんチョコレートか何かを選んで
レジの前まで来ました
絶望的なことに
レジには三人ほどの人が並んでいました
仕方なく一番後ろについて並ぼうとしてみました
駄目でした
私はまた猛然とした勢いで
手にしたチョコレートをもとの棚に戻し
どこにあるか分からない次のコンビニをめがけて
足早にその店を出ていったのです
街中のコンビニでしたから
レジ待ちの時間もひとり一分程度でしょう
すぐ終ります
私はそんなにせっかちな方ではないんです
あんまり暢気に信号待ちをしていて、青になっても渡ることを忘れたりするほど
どちらかというとぼーっとしています
それでも
私は普段ならなんとも思わない
その「推定三分」が絶望的に待てなかったのです
外へ出て、詳しくも無い街の道を
またコンビニを探しながら歩くほうが
ずっと時間がかかるということは理解していました
それでも悩む余地すらなく
苛立ちながら店を出たのです
そのときの私のしたかったことが
「チョコレートを食べる」ということであれば
多分ちょっと待ってレジで支払いをするという
より最短で確実なほうを選んだでしょう
ただそのときの私がしたかったのは
「チョコレートを食べる」ことではなく
「感情を食べ物の中に隠す」ことだったのです
怒りだったのか、悲しみだったのか、孤独だったのか
もう今では忘れてしまいました
ただ、街の中を歩いていて
何かが私に過去の思い出したくない感情を思い出させたのです
私はそれを、その心の中の金切り声を沈めるために
食べ物で口を塞いでしまいたいと思ったのです
猛然と食べ物に向かって進んでいく
その行動は心の金切り声を鎮めるのにとてもふさわしいものでした
ただ
レジで待つことは
心の中で竜巻が次々とやってきて
稲妻が光り
雨あられが降り注ぐなかで
静かに前の人を待つことなど
できるはずはなかったのです
そんなところにお行儀良く並んでいては
きっと心の金切り声はますますよく響いて聞こえてきてしまうでしょう
私はこの「待てなかった三分」という出来事をよく覚えています
過食という心の動きを
とてもよくあらわす行動だと
思うものですから
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コメント
過食の時、コンビニでレジを待てない。
とーっても、よくわかります。自分だけかと思ってました。
過食に走ってる時って、もう、胃袋から手が出るんじゃないかと思うくらい食べたいから、1息もつけないんです。
投稿者: あゆ | 2007年08月16日 14:41
あゆさん
たぶん、そこに「過食の意味」があるんですよね。
一刻を争って、それ以外のことはどうでもよくなってしまう、という
それが過食の意味であって、メリットであって、苦しいところなのかな、
って思うんです。
自分のしていることに冷静になって
過食している自分の状況が見えるようになれば
過食のメリットも消えるし
過食の苦しみも消えるんだろうな
って思います。
投稿者: ノラ | 2007年08月16日 19:42