HOMEアンチダイエット雑談>低カロリー食品では痩せない理由

食品をライトにする原理はまったく単純だ。
「おいしいところ、つまり脂肪と糖を抜き出して、
その代わりに安価なもの、すなわち主に空気と水を加える。」
科学的に手の加えられたほんの2.3グラムの澱粉糊やセルロースによって、
水が100グラムの脂肪に類似したものに膨れ上がる。

低カロリーの、あるいは人工甘味料が使われた食品は身体に食べ物のエネルギー含有量に関する情報を提供しないから、そのために満腹を感じるプロセスが障害を受ける。
その結果、満腹になっているのかそうでないのか、もはやわからなくなる。

通常の食事の場合には体内の熱生産は上昇するし、
それはまた身体にとっては重要な満腹のシグナルである。
低カロリー食品の場合にはこの満腹シグナルが働かない。
胃は、ほんの短時間はこれで満足するが、その後供給された栄養は利用できるカロリーではなく、単なる代替物にすぎないことを確認する。
その結果は、空腹である。
ライトな詰め物に対して胃は新たな空腹感で応答するから、
ライト製品の利用者はますますたくさん食べるようになる。

甘味料も舌を欺くことはできるが、胃を騙すことはできない。
舌によって甘味が感知された後、栄養のある糖分が胃に入ってこないと、
胃は--パブロフの条件反射同様に--激しい食欲で反応する。

甘い食品は血糖値を上げ、それによって元気がでる。
糖分の豊富な食物によって体内には、いわゆる上機嫌ホルモンであるセロトニンが増える。
特にチョコレートは、ほんの短時間ではあるが気分を高揚させる。
チョコレートには数多くのアロマ成分と、
マリファナに良く似た作用があるとされるいくつかの物質が含まれている。
甘味に対する欲求が強くなるのを防止するためには、身体の発する合図にきちんと耳を傾けて、身体が本当に甘味を必要とするときにそれを与えることが肝要なのだ。
しかしライト製品のみせかけの甘味はその感覚を損なう。

ライト製品によってより多く食べることになる。
というのは、栄養量の点でカロリー供給がじゅうぶんではないからだ。
つまり身体は必要とするカロリーを獲得するために、もっと多く食べることを要求する。
これはまたライト食品産業を繁栄させる。
トータルすれば、消費者は伝統的な食品を摂取するようも明らかに余分に支出をすることになる。

※文章は全てヴァルトラウト・ポッシュ著
なぜそんなに痩せたいの?―「美人」になりたい女の社会心理学 」より引用※


「低カロリー食品を食べていても痩せない」
というのはおそらく誰でも意見の一致するところだとは思うのだけど
それに対して「それっておかしくない?」という
大っぴらな意見を聞いたことがなかったので
この文章を見つけたのは新鮮だった。

過食症で体重の増えてしまった患者さんを治療するのに
「腹を膨らませるためにキャベツを食べられるだけたべなさい」
とアドバイスしたというお医者様の話を読んだことがあり
「それじゃあ何も改善しないだろうなあ」と私は漠然と思ったのだけど
なぜ「改善しない」と思ったのかといえば
私自身が馬に食わせるほど大量のキャベツを食べていたことがあったからだ。

結果はこの文章に書かれているように
「満腹なのかどうかさっぱり分からなくなる」
自分の身体の中の繊細なメカニズムのが狂ったような感覚というのが確かにあった。
それは、腹だけ膨れているけど何か食べたい
というような矛盾した感覚で、
「腹が減ってるわけでもないのに何か食べたいなんて、意地汚い」
と必要のない自己批判を誘発してしまいそうな、本当に混乱した感覚だった。
たぶんライト食品にまつわる理屈もそれと変わらないだろう


ダイエット効果はないということに
いい加減気づいていても
それでも通常の食品と低カロリー食品が並んでいれば
殆ど無意識に低カロリーの方に手を伸ばしてしまう
そうしていれば漠然と自分は何か努力しているかのような気持ちになれる
だからからくりに薄々気づいていても
誰も「それっておかしくない?」とは言わない

禁煙をしなければならいと感じているヘビースモーカーが
ニコチンの少ないライトタバコに銘柄を変えて
状況は何も変わっていないことに気づきながら
なんとなく自分をごまかしているのとまったく同じこと
むしろ、おかしいことには気づかないままでいたいと感じてしまう。
効果があるなしに係わらず、何か努力しているような感覚がなければ酷く不安なのだ。

「なぜそんなに痩せたいの?」関連記事一覧
1 美人の文化史
2 美人の社会心理学
3 美しいボディの創造
4 美人をめぐる神話
5 私の感想
美の理想
低カロリー食品では痩せない理由

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コメント

この記事は興味深いですね。どちらを,と言われたらつい,低カロリーのほうを選んでしまう習性は,なかなか抜けないのですけれど。シュガーフリーとか,脂肪カットとか。
上でプレゼント対象になっている本,昨日手許に届きました。少しずつ,読んでいます。
いまは過食ではないのですが,明らかな拒食というわけでもなく単純に食欲不振で,かなりのスピードで体重減少しつつあります。去年1年,過食嘔吐で15kgくらい増えたので,その分を取り戻しているだけかもしれませんが。
それでは,また。

さよさん
私も殆ど何も考えずに低カロリーの方に手を出しますが
食品を見て一番最初に考えることが
「美味しいかどうか」ではなく、「カロリー」のことだというのは
良く考えるとかなりおかしなことになってますよね。
しかも「それで痩せるわけではない」ということも経験的にすでにわかっているわけで。その矛盾した行動の正体は何?って言われるとたぶん現在の生活に対する漠然とした不安、なのですよね。


空腹を感じないというのは身体と心のアンテナを全部しまってるということですよね。
暮らしの中に満腹も空腹も満足も渇望もないというのはすごく辛いと思います。
空腹や渇望を無視して生きていくのは、辛いです。
お腹空いてなくても食べてくださいとは思いませんが
どうか空腹に耳を澄ましてください、とは思います。
去年何キロ増えていたって、生きてるんだから今年もお腹空きますよ。

やさしいコメント,ありがとうございます。さよ@夜勤休憩中 です。
うん,そうですね。空腹もなければ,食べたいという欲求もなく,1日0.5食くらいで済んでしまいます。食べたくなったら食べるようには,心がけているのですが。
そうですね。去年何キロ増えていたって,生きているんですものね。ましてや,働いているのですし。
うん,なんだかとてもやさしくて,嬉しくなってしまったのです。またお邪魔します。リンクに,加えさせていただきました。それでは,また。

さよさん
たとえ今日どんなに辛いことがあっても
できるだけ美味しいものを食べる権利は
生きているかぎり当然さよさんに備わっているものですものね。
どうかご自身のために快適に生きる権利は
辛いときでも守り続けていてください。

そういえばこのサイトにはリンク集がないということに
今突然気づいてしまいました。
RSSで作りたいな、とか色々と色気出して考えてみます。
ありがとうございます

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