HOME食べ物の思い出>フライドポテトの思い出

以前勤めていた会社には
夜の九時から朝の九時までの12時間勤務が四日間連続
という夜勤が月に一回あった
ただでさえ赤ん坊のようによく寝る体質の私には
これがなかなか辛かった

夜勤四日が明けた朝は
長期計画の脱獄が成功したかのうような開放感と疲労があって
とりあえず、早く帰ってゆっくり休みたい
というのがまず先にあるのだけど
これがまた不思議なことに
必ずファーストフード店によって
フライドポテトの一番大きいのを食べずには帰れなかった
営業時間に早ければその辺でふらふらして時間を潰してでも
是が非でもフライドポテトを食べて帰ったのだ

普段私は揚げ物は殆ど食べないし
それまで特に揚げた芋が好きだと思ったことはないのだけど
その頃は夜勤明けかならずバケツのような大きな容器でフライドポテトを食べていたし
それから深夜や明け方の仕事上がり、
「後は寝るだけだぞお」っというくつろぎのひと時に
ジャガイモを揚げてはよくポテトチップスを食べていた
なぜか突如揚げ芋まみれの生活を送っていたのだ
どうも睡眠時間が普段の生活からずれればずれるほど
何かを埋め合わせる感じで揚げた芋に執着した

知識不足につき、なぜ睡眠不足気味になると揚げた芋なのか、
という理屈付けはまったくできないながら
(多分誰にもできないだろうけど)
あれは何か身体の中で
何か絶妙のバランス維持能力が機能していたに違いないと思っている
どれだけ真夜中に大量に食べようとも、
絶対に脂肪にならなかったポテトチップスは
多分、私には計り知れない目的のために余すことなく全て体内で使われたのだろう

あの頃、
もう少し自分の身体に対する信頼が少なくて
「深夜に揚げ物なんて悪いこと」という通説にとらわれていたら
ぎりぎりながらもあんなふうに
どうにかこうにかバランスを取りながらやっていくことはできなかったかもしれない

その会社に勤めていたころ
もちろん不幸なことも良くあったのだけど
それでも基本的に私は
「私の身体ってとっても賢いなあ」ととっても感心していて
いつもできるだけ享楽的な生活を送っていた
異変は身体が真っ先に知らせてくれたし
いつもいつも身体に守られて
結構うまいこと暮らしていたもんだ

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