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「やせたい」に隠された心―摂食障害から回復するための13章
「やせたい」に隠された心―摂食障害から回復するための13章

実はこの本のように「家族」という文脈の中で摂食障害を解説されることが
私は若干苦手だったりする

私にとっては過食というのは今になってみれば最高にプライベートな行為として理解してるので
「家族」というコミュニティで共有されてしまうことそのものに抵抗を感じる
というのがひとつと

自分は治るために家族と理解しあおうとすることをあきらめた、
という負い目のようなものが多少あって、それが少々痛むのだ

この本のように家族一丸となって苦しい思いをして乗り越えて
みんなが変わって分かり合えるようになり、摂食障害も治りました、
というストーリーだと美談なのだけど、
私のように、本人は治ったけれど家族同士連絡もない状況です、となると
「この親不孝者がっ」と言われるのがオチで
勿論、考え方の違う人からその人の価値観なりの非難を受けてしまうというのは
致し方ないことではあるけれど
自分の中にも「誰にオシメ変えてもらったと思ってるんだ!」という価値観が
ちゃんと内在化されてあるものだから、
やっぱりそのあたりはチクチクとして痛いものが残る

だからこの本のような「家族療法」的なものは
羨ましいとは言わないけれど
本当にひと家族がまるまる変わるなんてことが可能なのか、と
それは本当に奇跡をみるような不思議な気がしてしまうのだ

それに、家族が変わるよりも
摂食障害を持っている本人が「家族を諦める」方が楽なんじゃないないか、
という想いもあって、でも、それを考えると
再び「誰にオシメ変えてもらったと思ってるんだ!」が出てきて頭を抱えてしまうわけだけど
私にとって「家族」というのは重すぎて持ちきれなかった荷物なのだ

私が過食症を始めたころは、一人暮らしを始めていたし親との交流も殆どなかったので
両親の前で過食をしたことはないのだけど
それでも手首を切ってわざわざ見せにいったり
薬を飲んで朦朧とした状態でわざわざ実家に行ってみたり
という奇妙な行動は何度かしていたから
「もうちょっとぎりぎりで身体張ったら分かってくれるかな?」というような
なかなか諦め切れない気持ちのようなものは当時持っていたのだと思う

結局私が治っていくステップというのは
両親や恋人を諦めて、摂食障害を誰のためにしてるものでもなく
完全に自分のものとして受け止めたあたりから始まるのだし
どれだけ身体を張っても、
「人をコントロールして理解させるように仕向ける」
というのは無理だと、分かってしまってからの方が楽だった

この本の著者は摂食障害のカウンセラーで
摂食障害の家族の交通整理をとてもうまくやっている
本人がうまく伝えきれない部分については
受け止め方を両親に対して伝えてくれる、それで治っていくケースが多くある

だけど摂食障害に苦しむ人のうち
何人くらいがこんなうまい交通整理をできる人に出会えるんだろう
そして凄腕交通整理員に出会えなかった人たちは
一度タイミングの狂ってしまった交差点の真ん中でどうしたらいいんだろう

そういうことを考えると
「家族」という中で摂食障害を掘り下げていくよりも
「自分」の中で掘り下げていくことの方が
現実的なのかな、とおもうところがある

それでも、この本の摂食障害のに向かう姿勢、
「過食が生き辛さから心を守ってくれるんだ」という症状の捕らえ方、
摂食障害を持つ本人たちの「言葉」をとことん聴こう、とする信頼、
というベースに流れるものは、もちろん深い共感を感じる。

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