依存と共感と私
数日留守にしていたので、ネタ切れ、といいますか
ちょっと頭がボケている状態なので
たまには好きな歌人のご紹介などを。
妻が眼を盗みて飲める酒なればあわて飲み噎(む)せ鼻ゆこぼしつ
足音を忍ばせていけば台所にわが酒の壜は立ちて待ちをる
自分が過食という依存癖を持っていたことに思いをめぐらせると
しみじみと悲しく思われるこのアルコール依存の歌は
旅と酒を愛し酒仙と言われた歌人若山牧水の「合掌」と題されたものです
私は中学生のとき教科書で初めて出会ったころから牧水が好きでした
幾山河(いくやまかわ)越えさり行かば寂しさの果てなむ国ぞ今日も旅ゆく
という歌のぱりっとした青空のような美しい旅と孤独に憧れて
私も寂しさの果てを求めて幾山河越えていきたいと思ったものですが
実際、牧水がこれを詠んだのと同じ歳、齢23の頃には
私も寂しさに突き動かされて闇雲に幾山河越える生活をしていました
どこか遠くの土地に行けば寂しさから開放される理想郷がある気がして
やたらと旅ばかり繰り返してしまう私の癖は
考えてみればこの歌あたりがルーツだったのかもしれません
妻が眼を盗みて飲める酒なればあわて飲み噎せ鼻ゆこぼしつ
足音を忍ばせていけば台所にわが酒の壜は立ちて待ちをる
そしてうって変わってただ暗いこの二つの歌は
42歳、すでに著名な歌人となった牧水が命を落とす前年に
末期のアルコール依存の生活の中で歌ったものです。
酒を飲む機会を狙って家の中で聞き耳を立て
人気のない台所に忍び込んで、おそらくは立ったまま、壜ごと大急ぎで飲む酒
震える手からこぼれた酒が鼻からこぼれていきむせ返る
味も分からず、楽しみもなく、憎んでも離れることができない酒
どうやって絶ったらよいのか、すでに検討もつかなくなってしまった無限の循環。
私がひときわ辛く感じられるのは
「眼を盗みて」「足音を忍ばせて」というところに
いつも人に見つからないように詰め込むようにして食べ
誰かと過ごす時間にも一人になってものを食べることしか頭に浮かばなかった
自分自身の過食症という依存症が思い出されるからで
そういう辛さを思い出すほどに、
この歌人はせめてもう少し楽に、
せめてもう少し救われて亡くなることはできなかったのかと悲しんでしまう
共感というのは不思議な心の動きで
半世紀以上も前になくなったアル中の歌人の死のまぎわの呟きがなんとも言えず悲しい
共感は本当に不思議な心の動きだなあと思う
明らかに、自分には何もできない、とわかっている事柄に対して
とにかく悲しい思いをもち、せめてもう少し楽に、と願う
そういう心の動きが人間には実際にあって
そういう心の機能が人間に備わっている以上は
何もできない、何の役に立たないとしても
それでもやっぱり共感にはなにがしかの意味はあるんじゃないか
なんてことを思っていたいわけで
最近はただそれだけで
このサイトをやっていたりするんです
自分のやってることに、
本当に、まったく自信がないんだけど。


コメント
ノラさん、はじめまして。摂食障害を患って10年になります葉月と申します。
このサイトに辿り着いて以来、ちょくちょく覗きに来ていたのですが、このようにコメントを残すということをしたことが無かったので、お話したくてもなかなか踏ん切りがつかず。。
でも今日は、私の好きな歌をノラさんが書いていらっしゃったので、嬉しくなってつい(笑
2つ目知らなかったのですが、1つ目は高校生の頃私は、誰にも言えずこそこそ隠れて過食嘔吐し続ける己を、何かおぞましい別の生き物に感じていました。いつだって後ろめたい気持ちを抱えていて、外に出るのが恐怖でした。
そんな惨めな気持ちでいっぱいだった或る日この歌に出会い、心に温かな光を手に入れたような気がしました。
私と同じ生き物がいる。あなたも人間なのだと言われているように感じて。
一人っきりで世の中に身を置くなんて、怖くてしかたがない。だからこそ、心に寄り添って内側から芯を強くし、自分の足で外の世界を歩いていけるという勇気を与えてくれるものが必要。私にとって共感とはそういう位置にあるように思います。。
長々と読み辛い文を書いてしまい申し訳ありません(汗 ノラさんの文章には沢山の共感がちりばめられていて、いつも救われています。ありがとうございます^^
投稿者: 葉月 | 2007年04月23日 09:09
葉月さん
はじめてのコメント、ありがとうございます。
葉月さんが持っていらっしゃる、共感の、光のイメージがとても素敵です。
なんというのか、とっても嬉しいことを書いていただいて、感動してしまいました。
「心に寄り添う」ですよね、本当に。
いつもしみじみ悩みながら日々無力感を感じながらここで文章を書かせていただいてるんですけど、今日は私が葉月さんに救っていただきました。
ありがとうございました。
投稿者: ノラ@管理人 | 2007年04月23日 18:20
はじめまして。
cafemmeさんのブログから飛んできて
お邪魔しました。
いくつか記事を読ませて頂いて
こちらのサイトに
そしてノラさんに出会えて
静かにだけど
確かにコウフン!しております。
引き続きゆっくり読ませていただきますね☆
P.S 無料で本(ギフト券)をプレゼントしていただけるのですか??
嬉しすぎる!
と同時になぜに??
スポンサーは??
とハテナマークもいっぱい。
こちらのしくみについても
改めてよませていただきま~す♪
投稿者: あらた | 2007年04月28日 03:50
あらたさん
遅れてすみません!
ちょっと色々勘違いしてお返事遅れてしまいました。
はじめましてなのに、いきなりすみませんでした。
cafemmeさんのブログとは素敵なところからいらしてくださいました。
私もcafemmeさんのブログを初めて見たときはコウフン!しました。
いまでもしてますけども^^。
プレゼントの仕組み、記事中にできる限り詳しく書いたんですけど
わかりましたでしょうか?
企業の宣伝活動に協力することによってお金がもらえるので、
そこから本代をお送りします、その代わり資料請求にご協力おねがいします、
というような感じなんですけが。
私自分でやってるからとりあえず怪しくはないですよ。
何か不安があったら、メールでお問い合わせいただけたらと思います。
なんだか、ちょっと仕組みが分かりにくい印象を与えるようなんですよね・・・
悩み中です(笑)
色々と良い本を見つけて紹介しておりますので、
もしお役にたてそうなものであれば、ためしに応募してみてくださいませ。
投稿者: ノラ | 2007年05月05日 14:07