HOMEダイエットという不自由>きついジーンズの思い出

きつくて入らなくなったジーンズで
どうしても手放したくないのがあった
なんとなく、他の服の奥へ奥へと隠して
それでも捨てないで、とにかくそこにある
凄くよく似合っていたし、いいジーンズだったのだ

さて、きつくなったそのジーンズはなぜ捨てたくなかったのか
もう一度痩せてそれを着たいから?

そのジーンズを穿いて暮らした時間が素敵だったからだ
そしてその中にあった大切なもののひとつは今は失われてしまっている
勿論悲しいことだ

きついジーンズを捨てたくないという思い、
もう一度それを穿けるようになることの想像は
その時間に戻ることを連想させる
あの時の私
あの時の暮らし
あの時のあなた

ジーンズを捨ててしまえば
その時が失われてしまったことを認めるような気がする
ジーンズがそこにあれば
失われた時にまだ戻っていけるような気がする

だけど思い出なんてものは
きついジーンズなんて場所に宿るものだろうか
思い出というものは
そこにあるなあ、と思いながら毎回なんとなく目をそらせて
気にしているのに何ヶ月も触らないジーンズなんて場所に宿るものだろうか
とくにそれが美しい思い出であればあるほど
一体そんなわびしげな場所に宿しておいていいものだろうか

とにかくそれら思い出は確かにすでに失われたものなのだ

過去の思い出がどれだけ素敵なものであっても、
人は一生の間同じものだけ背負って生きていくわけじゃない。
過去がどれだけ素敵でも、未来の方がずっと素敵になるという可能性は
生きている限り永遠に消えない。
悲しいことであり、嬉しいことであり、勇気のいることだけど
未来において過去よりもっとよいものに出会う可能性は常にある

きついジーンズにまつわるこだわりは
それがとってもよく似合っていたということではなく
そのときの気持ちや暮らし方への憧憬に違いないけれど
そうは言っても、
どっちみち過去には戻れやしないのだ
将来どんなボディサイズになったって、何を身につけようと
過去が戻ってくるわけじゃない
ありのままの身体で暮らす未来がやってくるだけだ
そのときに、何を欲しがるかなんて、わからない

さて、そこにある、きついジーンズはもう処分しよう
あなたが本当に拘っているのはジーンズそのものではなく、
それを穿いて過ごした日々なのだし
だからと言ってそれを捨てなければその日々が戻ってくるなんて
ありえないことなのだ

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