HOME摂食障害の本などのご紹介>みんなやせることに失敗している (1 パターンを変えてみる)

みんな、やせることに失敗している
みんな、やせることに失敗している

1994年初版の少し古めかしい本なのですが、
「ああ、日本でもちゃんといい本が出てるじゃないか」と嬉しくなったものです。
読んでいると、随所で過去に一度読んだことがあると思われる部分に遭遇するんですが、
不思議なことにとても良い本なのに、いつ読んだものか覚えてなかったんですね。
ちょっと読む時期が早すぎたのかもしれないです。

でも、中に紹介されているケースの一つでとてもよく覚えているものがありました。
今読み返しても、とってもいいなあ、と思う部分ですので、ご紹介します。

過食で悩む啓子さんという二十歳の学生さんのケースです。
啓子さんは授業が終わって学校からアパートに帰った直後に過食します。
著者であるカウンセラーの森川那智子さんのもとを訪れました。
まず自分の過食パターンを明らかにします。

帰り道は疲れきっています。 首も肩もガチンガチンにこっているし、おなかもすいています。 空腹を感じると、今度も過食になるんじゃないかという不安が増してきます。 過食を避けるにはどうしたらいいか、帰ったらすぐに課題に取り組んで、それを半分済ませたところで夕食を作って食べ、それからすぐまた課題に取り掛かる。 帰宅後の計画を何度も練りながら、近くのスーパーで夕食と明日の朝食の材料を買う。  アパートに着き、どっと疲れが出る。 でも、とにかくすぐ課題をやらなくちゃと考える。 考えるだけで気力が湧いてこないので、イライラしてくる。 外出着を脱ぐのもかったるい。 グズグズしているうちに、一個だけのつもりで、翌日の朝食用に買ったブドウパンを食べる。 おいしい!もう一個食べる。 空腹感が増してくる。もう一個。 すぐ近くのコンビニエンスに走り、アイスクリーム、プリン、クッキー菓子パンを買って帰り、食べて吐く。  もうどうでもよくなって横になってうとうとし、九時か十時目が覚めて課題に取り掛かり、夜中の一時か二時に就寝。 ときどき夜中にもう一度、過食することもある。

私なんか涙流してしまうくらい啓子さんの気持ちがわかります。
自分のことじゃないと、「なんでこんなに真面目で融通利かなくてただ自分を傷つけてしまうんだろう」と思いますけども
これが我が事だと、「どう考えてもこうするより他に選択肢はないだろう」と思い込んでその堂々巡りは永遠に続く、というのもよーく知ってます。
そしてこの終わらない堂々巡りは自分の弱さと努力不足のせいだと思って罪悪感を抱いたまま誰にも言わずに一人で溺れる、のですよね。

さて、この本の筋に戻りますと、著者は
「違うプロセスで過食したっていいじゃない」ということを言うのです。
今までのパターンを変えてみよう。

啓子さんが自分で出した代替案は、帰宅したらすぐ課題に着手するということでしたが、
著者はこれは今までのパターンを見て有効と思えない、と判断しています。
(もっともな判断ですが、これ自分ひとりで考えてると「不可能である」ことになかなか気づかないんですよね。だから私も過食から解放されていくとき、こういう客観的に見ていてくれる人が傍に一人いると凄く安心だな、って思うんです。これほど良くわかってくれているカウンセラーさんはなかなか居ないとは思うのですが。)

学校から帰宅まで「どう感じているか」をあらためて検証してみます。
まず啓子さんは学校から帰宅までの間、とても疲れてイライラしています。


疲れたと感じているのに、こんなことで疲れたなんて言ってられない、
もうひと頑張りしなくちゃと思い(プレッシャーをかける)、イライラする(ストレス反応)。

イライラしながらまずやるべきこと(課題)をきちんとしあげさえしたら、あとでゆっくり休めるんだからと、完璧な計画を立てます。
そして計画どおりにことが運ばないともっとイライラして過食になるというパターン


それを踏まえたうえで代替案を考えます。
「疲れたと感じているんだから、まず疲れを和らげることをしてみてはどうか」
ゆっくりお風呂に入る、帰宅途中にコーヒーを飲んで一休みする、肩こりを和らげる簡単なヨガをして仮眠をする、などです。

啓子さんは最初に休息してしまったら気がゆるんで何もする気になれなくなるんじゃないか、不安だと答えます。
課題の出来がよければ学校でもおどおどせずに人と付き合うことができるはずだ、だからまず課題をやらなくちゃ、と自分にプレッシャーをかけているのです。

それに対して、著者の提案です。


今までだって夜九時か十時に課題に取り掛かって何とかやれてきたんだから、帰宅してから夜九時か十時までの四、五時間はどんなふうに使ってもいいんじゃないか。
帰宅して課題をやらなくちゃと思いながら過食して吐いてウトウトしてもいい(これは従来のパターン)。
喫茶店で一休みして、家に帰って入浴して、ヨガをやって、それから夕食を食べてさらに過食してもいい。
今までとは違うやり方をやってみて何か不都合なことがある?


大切なのは過食をしないということではなく、自らの責任で選ぶという選択の自由だと言うことです。
いたたまれない気分に陥ったとき、自動的、機械的に過食というパニックにダイビングするのではなく、他の方法も持っているということ。
他の選択肢を選んでもいいし、過食を選んでもいい。

そうして啓子さんはこわごわと今までのパターンを変えていきます。
習慣を変えるというのは、不安だし、慣れるまでそれなりの時間も必要なものです。


もちろん何度もくじけそうになりました。
でもそのたびに、「私には選択の自由があるんだ」と踏みとどまりました。
自ら選択して過食する時、「仕方ないよ、今はこれを選んだんだから」と思って食べると、以前のように、「まるでジェットコースターに飛び乗ってバァーっと突っ走る」ような無茶な食べ方にならないことにも気づきました。


*****

どうでしょうか。
私はこのエピソードにはかなり感動します。
過食から抜けていくのは意志とか、我慢とか、の問題ではなく
まずは現実をありのまま受け入れて、それに対してどうしたらよいのかという
「やり方」を冷静に考えてみる。
「良い私」「悪い私」の判断を離れて、
「これもこれもできるけど、こっちの方が得だよなあ」という
善悪判断より、むしろ損得勘定するくらいで考えていくほうがずっと分かりやすいんじゃないかって、思うのですよね。

私、いいこと言いましたね、今^^。
今日の格言;「善悪判断より損得勘定」
これ、いいかもしれない(笑)


↓「みんな、やせることに失敗している」関連記事
1 パターンを変えてみる
2 やせたらしたいことリスト
3 過食症からの回復
4 体重セットポイント説
復刊リクエスト

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コメント

この本、摂食の症状真っ只中だった
10年以上前、バイブルのように
読み返してました^^
勢いで、1泊のワークショップも
参加しちゃいました

なんて懐かしく思い返していたら
いくつか前のエントリーに
私あてのメッセージを発見!
ありがとうございます♪

前の記事へのコメント、
分かりづらいのにもかかわらず
よくぞ発見してくださり、
お返事まで嬉しいです☆

本のプレゼント企画の仕組み
理解しました。
お手数おかけしました。
資料請求、何度かトライしたものの、
私のPCの関係でしょうか、
途中からエラーになって断念しました><

ノラさんが勧めてらっしゃる本、
図書館などで借りてみようと思います♪

またちょくちょく遊びにきますね~

ワークショップ行かれたんですか、素晴らしい!
お話お伺いしたいわ^^。

コメント、すみませんでした。
普段はどこに書き込みあってもちゃんとわかるんですが
たまたま迷惑コメントが大量についてしまったので
ちょっとミスしたんです。
お目に留まってほっとしました。

資料請求はすみません、お手数だけかけてしまったんですね。
私は問題なく請求できたんですけど。なぜかなあ。
クッキーがオフだった、とかでしょうか?
念のため、もうひとつバナーを追加しておきました。
もし図書館で見つからなかったら、
もうひとつの方も試してみていただければと思います。

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