何キロまで太ったら私と別れる?
「何キロまで太ったら私と別れる?」
と聴いたことがある
「うーん、俺より重くなったら考える」
そのときの恋人は答えた
「・・・何キロ?」
「○○キロ」
男として小柄で華奢な彼は
半年も過食を続けていれば楽に超えてしまいそうなくらいの体重しかなかった
その後、私が何を言ったのかは覚えてない
ただ頭の中でヒステリーの嵐がごうごうとなるような
とにかく暗くて強烈な感情が吹き抜けたのを覚えているだけだ
もうひとつ顕著なことを付け加えると、
実はそのときすでに私は彼と別れたかった
「何キロまで太ったら私と別れる?」
と聴いた魂胆はただひとつ
ひたすら「体重なんか関係ない、何キロになっても君が好きだ」
ということを言わせんがためだ
おそらくその魂胆そのものは彼もわかっていて
だからこそ嫌だったんだろう
なんとか冗談のように紛らわせたくて
「俺より重くなったら」とあてずっぽうに言ってみたまでだと思う
私は彼が絶対に自分から離れないと思っていた
それほど深く愛されていたからということではなく
それほど深く依存されていたからだ
実際、彼の依存は壮絶で
二人の間になにかが起こると
突然原因不明の病気になる人だった
床の上を転げ回るのを夜中に救急病院に連れていき
こちらがやせ細るまでつききりで看病すると治った
そして私への依存が全て症状として身体に現れる彼に対して
「何キロまで太ったら私と別れる?」と聞く私は
まぎれもない共依存だった
理不尽なほどの強引さで依存する彼と
その依存に心地よさを見つけた私と
あまりにも閉じられた共依存の世界から出たい私
その強烈な感情の絡まりの中で、私はまた過食を始めた
「何キロまで太ったら私と別れる?」
それではもし彼が素晴らしいテレパシーの能力があって
私が言わせたかったとおりずばり
「体重なんか関係ない、何キロになっても君が好きだ」
と答えたら、私は満足しただろうか
別れたくないと思うようになっただろうか
何も変わらなかっただろう
もっと試すだろう
もっともっともっと試すだろう
どこまでも試し続けて決して安心しないだろう
そしてずっと別れたいままだろう
「体重なんか関係ない、何キロになっても君が好きだ」
と言ってほしかったのは
それは考えてみれば彼に言って欲しかったのではなく
私は自分自身からそう言ってもらいたかったのだ
人からどんな風に見えていても自分が自分であることを確信したかった
彼の中に居場所が欲しかったのではなく
自分の中に居場所が欲しかったのだ
「彼が求める私」だから「私」に意味があるのではなく
ただそのまま生きているだけで意味のある私になりたかったのだ
自分の必要とする自己肯定感をぐるぐると探して廻った
人々の目の中へ
彼との依存関係の中へ
一体誰が私に「自分は自分でいい」という気持ちをくれるんだろう
一体誰が?
数ヶ月のちに引きちぎるようにして彼と別れた
本当に泣きながら足にしがみついてくるのを
振り切って荷物を持って家を出た
あの別れは二人にとって大きな仕事だったと思う
私と二人でできるだけ長く世間から隠れているために、次々と病気になった彼も苦しかったのだ
そして彼に「何キロまで太ったら私と別れる?」と聞いた私も苦しかった
私たちは別々に症状を出しながら、二人とも大きな仕事をしていたと思う
真に聞くべき相手は自分自身だった
「何キロまで太ったら私と別れる?」
答え
「何キロまで太ったって、ずっとついていくしかないでしょう。
だってこれが私なんだから」


コメント
再びこんにちは こないだ頂いた言葉。癒しになりました。
社会的にはダメでも自分的には今の時間は必要なんだって思えてきました。友達がいなければ一人で楽しめることすればいいんですよね。
痩せていることを諦めようと決めて3ヶ月で6㌔増えました。
今まで着ていた服がデニムが下着がきつくなり悲しくて、脂肪は全て切り取りたい。
自分を信じたいけど本当にこの後無駄なものは落ちるのか・・・ まだまだ綱渡りな精神状態。ノラさんの言葉をしがみつくように読んでます ここが山場なんだって、生まれ直しの最終関門だって。ここを超えたら私は私になるって。ちゃんと自分を愛せて、自分のために、自分主体で生きていくんだからって思って・・・
言い聞かせてもやっぱりわぁぁってなってたけど、もうホントに開き直ろうと思います ご飯もお菓子も食べたいって思ったら食べよう。バターも砂糖も怖くない!!体が、心が望むなら!!って決めました そしてこんな体でプール行って水着で泳いできました!すっごい気持ちよかった!!かっこいい従業員もい、この体でスッピンで会話(用具の使い方ですけど笑)しました ちょっと前進?
人生は戦いだって思ってました。自分を律して、他人より抜きん出て。自分のことでさえ敵視してたけど愛をあげられるようになりたい。自分にも誰かにも。まだまだ太るかもしれないけど、とりあえず新しいかわいい下着買います
長くてごめんなさい またちょくちょく来ます 乗り越える支えにさせて下さい 柔らかく強い優しさをもてるまで。
投稿者: みや | 2007年05月11日 13:53
私もです。
誰よりも「愛してるよ」といってほしいのは、自分自身からです。
ノラさんはいつもいつも、私に大事なことを気づかせてくれる。
本当にありがとうございます。
投稿者: eiko | 2007年05月11日 19:52
みやさん、お元気でしたでしょうか。
自分が渦中にいると見えないですが、体重が増えるのを怖いと思いながら
それでも信じよう信じよう、このまま進んでいこう、と決心しているみやさんこそ
「柔らかく強い優しさ」をもっているように見えます。
どんなに細くて頼りなさそうな希望でも、
とにかくぎりぎりのところで捨てないで持ち続けていて
どんな自分にも、ついていこうとする気持ち、
こういうのがまさに強くて優しいんじゃないかって。
ジェニーン・ロスは自分の身体と仲良しになるために
嫌いな部分を選んでマッサージをして、「優しくしてあげる」ことをアドバイスしています。
消えることを望んだり、嫌ったりしても、厄介払いなどできないのだから、
優しくそっと話しかけてあげてください、と言います。
「自分を好きになる許可など、もう待つのはやめましょう。
誰にも、それをあなたに与えることなどできるはずがないのだから」と。
投稿者: ノラ@管理人 | 2007年05月12日 08:46
eikoさん、ありがとうございます
私もずっと忘れていたんですが、ここで交流させていただいていると
思い出させてもらえます。
「自分に言ってもらいたい」という欲求は「自分に言ってもらう」まで
絶対に消えないんですよね。
自分に何かを隠しているから表現方法があんなにとんちんかんになるんだなあ、って
こうやって思い出して書くと思いますけど
本当に真っ只中にいるときはもうまったく気づいていませんでした。
投稿者: ノラ@管理人 | 2007年05月12日 08:53
うん☆うん☆!!!!って感じでした
投稿者: メル友M・K | 2007年07月08日 16:06
メル友M・Kさん
あれ、ネットつながったの?
こういうエントリに「うん☆うん☆!!!!」っていう心境?
あの話やこの話はどうなったんだろー^^。
いや、元気かい?
投稿者: ノラ@管理人 | 2007年07月08日 21:22
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