HOME過食症体験記>愚かな女のなる病気


ちょうど私が18,9歳のころ、思春期やせ症のことがようやく話題になりかけたころで新聞に記事が載ったんです。
その記事には、この病気は極度に容姿を気にする若い女性が、やせたいという一心でムチャクチャに減食をする結果、後もどり不可能なくらい体を壊してしまう、とあったんですね。
私自身そういう思いは少しもなかったんですが、そこに描かれる少女は否定的なイメージでしたからね。
非常にショックだったんです。
その日に書いた日記をいまでも覚えています。
それは差別と偏見に満ちた言葉ではありますが、そのままいいますとね
--愚かな女のかかる病気にかかった--とあるんですね。
私はこの愚かな思い込みを乗り越えるのに半年、いや一年はかかりましたね。
いや、今も完全には乗り越えられず、私の人格構造の中にきちっとはまりこんでいるようです。
「私の嫌いな私像」の根っこになっていますからね。
そういう形で、周りから自分像を作られる。
しかも悪しきイメージをもったおしきせの像ですね。
(「「女」なんていや!―思春期やせ症を追う 」より引用)

摂食障害から離れていける人というのは
いったいどうして回復できたのだろう、という疑問、というのがあって
それはもう考えれば考えるほど謎だ

もし摂食障害が「愚かな女のかかる病気」であれば
「愚かだった女が賢くなったから治った」ですむ
とっても簡単な話になるのだけどね。
でもそれは自分自身の経験を考えてみても
自分以外の人を見て考えても
明らかに正確ではないわけで。

自分の経験について考えてみて
「摂食障害前後」を比較したときに
使用前/使用後みたいに愚かだったもんが賢くなったのか、
っていうとそういうことはまるでなくて、
ただ単純に同じ人格の中で
過食という現象がなくなっただけの至極単純な話であり
一個の人格としては別段どこも賢くなってないことは明白だ
(ある種の考え方の癖について自覚するようになった、とか
自分が「結構おバカ」であることを認めて和解した、とか
そういう「生きるための知恵」ってのを
いくつか習得したってのはあると思うけど)

自らの女性性を受け入れたってこともないし
家族関係が改善した、ってこともないし
母子関係で癒しがあったってわけでもないし
未発達だった自我をどうこうしたってはなしもないし
とくにコミュニケーション能力も向上してない
依存体質も別に変わってないし
衝動制御がうまくなったわけでもないし
本当にただ単純に過食をしなくなっただけだ

なぜ過食をやめたのか。
私は過食の症状は出たり消えたりしながら
大雑把にいってだいたい三期くらいに分かれた過食を経験した。
最後に回復していったときの状況というのは
過去の記事で少し触れたことがあるのだけど

そのときは明らかに人格破綻した男に金を搾取されながら暮らしていて
周りには知った人もなく、
頼るあてもなく、出て行く先もない、というような
「このまま放っておくと私の人生がヤバイ」という状況にいた。

心的状況についていえば
その目も当てられない状況に心をつぶされないようにするために
過食をしていたんだけども
一方で「食べたい、食べちゃいけない」という葛藤にだけ没頭していると
いつまでたってもその生身の危険な男から離れていけない、という
現実世界の方に明白かつ緊急の危機が起こっていて
さしあたり生きていくためにいったん「食べる食べない」のはなしは
棚上げするより他になかったのだ
持ちうるかぎりの精神力の全てをつかって
まず男から離れていくより他に、結局のところ生き延びる術がない

愚かなものが賢くなったとか
人として成熟した、とか
そういうレベルではなくって
とにかく生きるためにできることの数が
そのときそもそもあんまりなかったのだ
とにかく喰うなら喰え
それでも私は生きていくのだぞ、
というところで腹をくくるより他に
人生にたいして手のうちようがなくなっていた

過食をしなくなったというよりは
過食を問題行動として捉えておくだけの状況の余裕がなかった
ってのが正直なところで
別に過食なんていくらやってもそんなに悲惨なことではない
という、ある程度の底が見えてしまった、
ような感じなのかもしれない
考えてみれば自分でもよくわかってない

六年か七年くらいやってないからもう一生しないような気がするけども
それも考えてみればわからない話ではあって
ひょっとしてまたするのかも知れないし、
そうなれば苦しいだろうけども
遺伝子に書き込まれた人生がそういうふうになってるなら
それも仕方ないといえば仕方ないだろうし
恥ずかしがってもどうしようもないから諦めるしかないだろう
結局のところ食べてても吐いてても「自分」なわけだし
食べたり吐いたり食べなかったりするくらいで「自分」は変わらない。


以前、村上龍が女子高生51人に対してインタビューしたときの記録
という分厚いインタビュー集を読んだことがあったのだけど
そこに拒食症を経験した高校生の話があった
ちょっとはっきり覚えていなくて申し訳ないのだけど
一時医学的に危険な体重まで落ちてしまった女の子が
回復して元気に暮らせるようになった、という話があった。
「どうやって治ったの?」
という質問に対する答え、が、私ちょっと感動してしまったんだけど
「友達が楽しそうだったから」ということだった
友達が楽しそうで、私も彼女たちと一緒に人生を楽しみたい、
っておもったら回復していった
という、話で。
なかなか感動した。

私も思うんだけど
結局のところどうして回復するかって
やっぱり生きるのが楽しいから、しかないんじゃないだろうか
「人生って楽しいものだ」って思ったときに
やっぱり「食う食わない」のところにあまり長くい続けるってのは
あきらかに「損」なわけで

私も「食う食わない」の話で
なんとか高まった緊張を脇へそらしながら
明らかにくだらない生活の現状維持を目的に
息を潜めていることを良しとするには
「人生はもっと楽しいもののような気がする」って気持ちが強すぎたからこそ
結局は治っていく方向に頭が向いていったんじゃないか、とも思うし
それは「どっちの生き方がより高尚」ってレベルの話ではない

賢くなった、とか、成長した、とかいうことではなくて
やっぱり、最終的には
生きるのってもっと楽しいんじゃないか、って思ったときに
絶対的に「摂食障害」って損なんだって話だ

何が良いとか何が悪いとか
何が高尚、何が愚か、
何が成熟、何が未熟とかいうような
そういう区別ははっきり言ってわからないし
わからない話はしないでも、人生やっていけるわけで

結局
どっちが楽しい、とか
どっちが得、とか
そういう「分かる話」で人生すすめてもいいんじゃないだろうか

ようするに
私がしたいのは
希望の話で
人が回復するのは
人生が楽しいから、じゃないかな
という話、
なんだね

夢見るころを過ぎれば―村上龍vs女子高生51人 (ダ・ヴィンチブックス)
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コメント

ほんとですね
泣くより笑いたい
どん底のときってなかなか希望なんて持てないんだけど、苦しいんだけど、
例えばちょっとなんとか堪えて半日とか経って、こうやってノラさんのブログ読んで、人生やっぱ楽しくがいいよな~なんて思えたりするんですもんね

どうもどうも

わたしは中学~高校にかけてけっこう重度の拒食症だったのですけれど、オーストラリアに留学してホームステイして、そこでホストファミリーとかなり険悪になって「それどころじゃなくなって」、症状はそれから10年くらい完全に消えてました・・・。ホストマザーの作る食事を拒否したらそれこそ生存が危ぶまれる、ということで、もう何も考えずに食べるしかなく、食べてるうちにほかの食事も食べられるようになって・・・。他人には勧められないけど、そういうこともあるんだな、なんて、思います。
まあ、10年たって、薬で太って我慢できなくなってまたダイエットを始めて、どう考えても成果が出てしかるべきなのに出ないことにいらだって過食嘔吐して、という形でまた、摂食障害とおつきあいするようになったわけですけれども。ここ2ヶ月くらい食行動が正常化しているのは、何が起こったのでしょうか、ちょっと考えてみます・・・。

私も半月前から過食症がパタリとなくなりました。
理由は諦めたからです、ノラさんと一緒ですね。
太っててもいいじゃないか、太ってたからって出入り禁止になる場所もないし、縮こまらなければならないこともない、
MサイズがきついならLでもXLでもいいじゃないか。
そう思ったら、食への興味がなくなりましたね。
そうしたら世界は楽しくなりました。
外出もしたくなりました。
不思議ですね。
やっぱり自己肯定がたいせつなのかな。

高校生の言葉、素敵だなって思いました。正直な心からの感情だったんだろうなあって。
友達と食事しているとき、一人でカロリー計算して自分でOK出したものしか食べられなくって、しかも他の物を勧められたらどう断ろうか?って、言い訳ばかり必死に考えていた。何でこんなに疲れる事しているんだろう?って、思ったりもした。

今日のブログを読んで、自分が楽しいと思える心に従っても、良いじゃないかなって、思えるようになりました。

こんにちは!!

具合大丈夫ですか!?
なんだか北海道は日本で一番暑かったそうで(;´Д`)
お大事にしてください!!

摂食障害になってる時って
本当にカラダなんてどうでもいいんですよね
痩せてることが第一。
肉、削ってもいいって
ちぎって捨てたいって思ってましたよ。
しかしあたしは
皆さんのように
まだ「痩せ」を諦められてない(;´Д⊂)
上京することが許されていなくて
嫌いな土地にいるから??
嫌いな土地にいることも
諦めなくちゃだめなのかな~
です。
どれが真意でどれが逃げなのか
考える日々です。
(毎度支離滅裂でごめんなさい;)

ごめんなさい
名前忘れました(^^;
上記のカキコミ私でした

過食が治るから幸せというよりは
幸せとか、毎日を自分らしく生きていったりすることによって過食なんか消えてしまう、というほうが
過食とさよならする方法としては簡単なのかもしれないですね。

過食なんて、衝動だもの
なかなかコントロールすることは難しいと思うし。

やりたいことを見つめていたら
少しずつゴハンが食べられるようになった。
まだ、おなかの違和感が酷くて
吐いてしまうことのほうが多いけれど。。。。
痩せたい気持ちも、それにこだわる気持ちも強いけれど・・・

早く体の調子が戻るといいですね(^_-)

>過食なんて、衝動
emaさんのこの言葉に前は過食は病気と撮っていた自分が逆に頷いていたりします。


北海道に母が今帰省してるのですが内地より暑いらしいのでおきをつけて。

芙蓉さん
どうもどうも^^。お久しぶりです。
結局のところ、辛さの中に、「生き延びたい」って気持ちがあるからこそ
相反する二つの気持ちの中で摂食障害なんてミゾに落ちたりするのであって、
なんでそうまでして生き延びたいのか、ってのは
やっぱり人生そのものがどっかすごく魅力的なんですよね。

Nokoさん
結局は「食べるしかない」「生きていくしかない」に、どこかでぶつかりますよね。

「薬で太る」って、調べたいこととかNokoさんにきいてみたいことととか
ちょっとありました、そういえば。
ちょっと気にしてまず調べてみよう。
だって、なんか理不尽なことされてるような気がしますよね。
医者に太らされる、ってどうなのよ、って。(あ、お医者様にむかってすみません^^)

何か、原因ありましたでしょうか。
「摂食障害がなおる」って、スイッチを押すみたいに
「これをやったらこう」っていうスキっと治るのではない場合が結構多いのかなあ、と思ってます。
自分が意識してるよりもっと深いところでいろいろとバランスが取られているみたいな。

yuiさん
諦める、って自分と折り合うための初めの一歩ですよね。
結局は、どういう条件を抱えていても、自分にとって唯一の人であるからこそ
自分には自分が大切なわけで、
条件が気に入らないからといってはじき出すことはできない、って
いうのを認めるところから、
色々オモシロイコトが始まるんだろうなあって気がします。

金木犀さん
私は「この子と楽しく遊ぶために回復しなきゃ」
っていう形の友情はもったことがないので
なんというかな、やっぱり眩しい感じでした。
言葉は対して器用でもないですけど
「友達が楽しそうだから」回復する、って
やっぱり伝えていることの意味において凄い言葉ですよね。

きっと皆、心から何かが楽しいからこそ、回復したいんですよ。

みやさん

>まだ「痩せ」を諦められてない(;´Д⊂)

別にあきらめることもないですよ。
痩せたくても自分だもん。
痩せたいけど痩せられない可愛い自分を連れてあるいて
仲良く暮らせば良いですよ^^。

>どれが真意でどれが逃げなのか
こういう疑惑があるときってたいてい
「一番認めたくないもの」が真意なんですよね。

「正しくあろう」とか思って考えていくとどんどん
出口のない螺旋に入ってしまうから
「どっちが得か」とか
「どっちが楽しいか」とか
分かる価値観で考えていくと良いですよ、きっとね。

私あっちこっち旅してしまうクセがあるけど
「その土地から出ていきたい」ってのは
「その土地での暮らしが幸せではない」
ってことみたいでした
経験的には。

emaさん
なんとなく、生活がいいペースに乗ってるみたいですよね。
いかがおすごし?

結局は過食も自分なりに生きるための試みだし
過食をやめることも自分なりに生きるための試み、なんですよね。

北海道で「暑い」とか言うと全国のみなさんに申し訳ないですけどね^^。
emaさんも夏バテに気をつけて、楽しいこと一杯してください。
どうもありがとう。

再びyuiさん

あら、お母様北海道ですか。
カラッとしていて過ごしやすいんですけどもね。

今年も北海道は苺とスイカが並んで売られています。
道外の人には信じがたい風景みたいですね。
私最近まで苺は夏の果物だと信じて疑わなかったんですが
全国的には春の食べ物と認知されているようで・・・。

苺とスイカ食べております。

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