拒食症・過食症を対人関係で治す 1
第一章 回復を妨げてきた「常識」
最近随分更新の間が開くようになってしまいました・・・^^;
日がたつのが早いですねぇ・・・。
ご紹介する、と言ってから時間がたってしまったこの本です。
家族の方に読んでもらったら理解してもらえた、
というようなメッセージも、個人的に何件か頂いています。
非常に分かりやすく、理論的で的確ですし、
自分も、周囲も、摂食障害についてどう表現したらいいのかわからず
闇の中にいるような気持ちでいる人には、
自分と、それから身近な人間関係を作っている人にも、
読んでもらうのにお勧めします。
連載で概要を紹介していきますので、
納得できる部分あったら、ぜひ手に入れてみてください。
今日は第一章の概要です。
今まで摂食障害にまつわる「常識」とされてきたものを
具体的、理論的に考え直すことでもう一度
摂食障害、というものについて考えてみることができます。
今まで常識とされてきた、そして摂食障害の回復にはむしろ有害になってきた
いくつかの「常識」について解説しています。
○摂食障害になるのは「母親のせい」?
この本では人間のもともとの性格のうちの約半分が先天的に決まっていて
それ自体は変更のできないもの、としています。
また、環境によって変化する残りの半分についても、
「母親との関係」のみによって決まるものではありえません。
また「母親との関係」を取り戻すべく赤ちゃんがえりしたような方法をとる
治療法についても、疑問を呈しています。
幼少期に母親の愛が足りないと感じていたとしても、現在の母親も患者さんも、その当時とは変化しているのです。患者さんがどんな幼少期を過ごしたにせよ、病気になったのはもっと最近のことであり、現在もその病気が続いていて、患者さんは現在に生きているのだということを常に頭においておく必要があります。母親との関係を修復できるのは、現在だけなのです。
○拒食・過食の症状を抑えれば治る?
症状はストレスの表れであるので、「とりあえず症状を抑える」ことにはあまり意味はありません。
なぜその症状が表れているかを理解し、対処できることが目標になります。
「心のバランスがとれてくると自然にとまる」というのが、一貫したテーマです。
○入院すれば治る?
過食症については入院の必要はありません。
拒食症については命の危険があるときに緊急避難的に入院が必要な場合がありますが、
治すため、というよりも一時しのぎです。
とりあえず症状を抑える、ということに意味がないのは前述の通りです。
「治療に専念できる環境」というのも、大変誤解されやすい概念です。精神的な病は日常的な人間関係の中で作られるものだからです。そこから隔絶されたところで治しても意味がないし、そもそもそれは本当に「治った」とは言えないということになります。
○拒食症から過食症になることもある?
拒食症から過食症に転ずるかどうかは、その人の性格を調べることでかなりの確率で予測することができます(詳細後述)。
「過食症になる」「性犯罪に手をそめるようになる」などの根拠のない「予言」は回復をこじらせるだけと言えます。
○摂食障害はわがまま病?
病気を理解できない、治療できないという治療者の非を患者さんの「努力不足」や「性格の悪さ」に求めるのは、もちろん回復を妨げることです。
摂食障害の患者さんの一番の特徴は周囲に配慮しすぎて言いたいことも言えない、という点であることからも決して我が儘な人がなる病気ではない、といえます。
「わがまま病ではない」ということを明らかにすることは治療プロセスの第一歩でもあります。
○治療すべきは「やせたい気持ち」?
「やせたい気持ち」は摂食障害に特有のものではありません。
多くの女性の身体認識が歪んでいるというのは、大きな社会的テーマの一つではありますが、
摂食障害の治療において大切なのは「なぜ痩せたがるのか」ということではなく、
「なぜ日常のバランスを崩してまで、やせることにしがみつくのか」という観点です。
やせたい気持ちの背後に隠れている真の問題は、さまざまなストレスや自信のなさであり、決して「やせたい気持ち」そのものではないのです。
○摂食障害は苦しまないと治らない?
大変難しい病気で、絶望的ですらある、という専門家も多くいますが、苦しい治療ほど効果が上がる、というのは臨床研究に基づいて考えても迷信です。
次章から「実用的な」治療法について解説していきます。
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コメント
昨日から読み始めました。
痩せ願望が減ってるのに、イライラすると過食してしまうのは何でだろう?って思ってた時期に買ったのですごくためになりました。
私は嘔吐無しの過食なんですが、過食の章ではうんうんうなずきながら読んでました。
ただ著者が書いてるように身近な人に知ってもらおうっていうのは実行できないなと頭抱えてます。
一応、ダンナは過食症であることは知っています。
でも「そんなの食べなきゃいい」の一言だったし、出産後にぶり返した過食も気づいても気づかぬふりで、時々、「夜中に食べてた?」ってさぐり入れてきたり、私からしたら「ほっといて~!」って感じです。
私は1人で対人関係の所をよんで治したいなって思うんですが、それではダメなんでしょうか?
かえって、ダンナや実家の母に過食のことを知られ、干渉(?)されるほうが負担に思うより、自分で治していきたいと思うのも過食症の人の性格なのかなぁ・・。
良くわからないコメントになってすみません。
ノラさんのこれからのレビュー楽しみにしています
投稿者: kiki | 2007年12月08日 06:39
>「なぜ日常のバランスを崩してまで、やせることにしがみつくのか」という観点です。
これって摂食障害だけではなく、いろいろなことに当てはまると思います。
人はうわべだけ見てるんだな、ということを摂食障害になって痛感しましたね。
または本人がうわべだけを見せているというか。
投稿者: yui-520 | 2007年12月08日 17:48
このブログで紹介されているのを見て買いに行きました。
特にコミュニケーションの問題点を指摘した部分は本当にためになりました。私は気持ちを言葉に出すことが本当に下手なんですよね。間接的なものの言い方で相手を誤解させてしまったり、相手の気持ちを思い込みでわかった気になってたりとか。
「私は~したい」と、率直に言ったほうが物事はすんなり運ぶことに気づかせてもらいました。
レビュー、楽しみにしています。
紹介してくださり、ありがとうございます。
投稿者: とも | 2007年12月08日 19:49
調子はいかがですか。
レビュー興味深く読ませていただきました。日常いろいろなことが
あり、著者の本はうつ病のタイトルのものを持っています。
臨床の中での見解と、女性への視点が男性医師には理解しづらいだろう細やかさを感じさせます。
拒食症と性犯罪?ですか。
犯罪と結び付けて考えるというのははじめて聞いた。
これからも楽しみにしてますね。
投稿者: nikonikoosinn | 2007年12月09日 00:31
ごめんなさい。慣れていなくて、3回も押してしまいました。
実は私、医療にすがるのはやめて、フェットネスクラブの2ヶ月集中ダイエットをしているのです。
1ヶ月過ぎたところで、全くへらない。体脂肪15パーセントで、
有酸素運動1日3時間して、夜は牛乳だけにしていも体重落ちない。
それならそれでいいのだけど、
コミュニテーや、摂食障害のカテで、医者にいけと、本人の体の状況もわからないままいう奴を見ると、
ほとほと無責任で、書き込むご本人が行ったほうがいいのではと
思う。
医者に治せたら、こんなに苦しんでいる人ばかりでないでしょ。
で、クラブはもっと詐欺だった。
4万8千円返してくれるように、消費者センターに掛け合ってもらおうか。スキルが足りないよ、
やせるための情報や努力は皆人並み以上だと思うよ。
そう、私もそこまでやせることにこだわることが問題というのは身にしみてわかります。
投稿者: nikonikoosinn | 2007年12月09日 00:43
表紙が…!表紙がワタクシの敬愛する西島大介氏のイラスト!!
(反応する所が間違っています)
摂食障害と対人関係って、確かに深く繋がってますよね。
同じ摂食障害に悩む友人を見ていて、更にその思いを強く感じている最中です。
他人だからこそ客観的に見れるという事でしょうか(;´д`)
自分にも色々とあるのでしょうが、
その最中に居ると輪郭がハッキリしなくて何が原因なのか見え辛いんですよね。
というわけで、大変気になる本です。
今は仕事が鬼の様に忙しいので、正月休みにでものんびり読みたいですねー。
表紙が西島さんだし(結局其処か!?)
ノラさんのレビューは毎回わかりやすいので、
今回も楽しみにしています!
投稿者: ミツキ@2.5 | 2007年12月09日 11:40
こんにちは!初めて投稿します。
私もこの本を読み始めたところなのですが、私もkikiさんと同じ考えで、身近な人に打ち明けるのは実行できない・・・というか、したくないです。本の内容はとても納得できるのですが・・・。
できれば自分一人で対人関係療法をやって治したいなって思うんです。kikiさんに超同感なんですが、人に干渉や、自分の全てを知られるのが嫌って思うのも過食症になる人の性格な気がします。(私だけなのかもですけど。)
投稿者: トリちゃん | 2007年12月09日 22:12
kikiさん
ありがとうございます。
うん、わかるわかる、と思ったので記事として取り上げさせてもらいました。
「そんなの食べなきゃいい」ということ自体が
摂食障害、というものについて「認識がずれている」状態ですよね。
この本で取り組んでいこうとするのはその「ずれ」の部分だと思います。
・・・なんてことは「もう分かってるよー」という感じですよね^^
あたらしく立てた記事で、みなさんの意見伺えたらいいな、って思ってます。
よかったらkikiさんも参加してくださいませ。
投稿者: ノラ | 2007年12月10日 23:42
yuiさん
本当に、何事も、そうですよね。
本人も、周囲も、やっぱりいちばんシンドイところでは
問題を摩り替えて消化しやすい形にしよう、という意識は働きますね。
著者も「摂食障害は心の病の典型的なものである」というふうに書いていますが、
摂食障害が病であるかどうかは別の議論としても
受け入れがたさに対する苦しい適応の形、ということだって思います。
投稿者: ノラ | 2007年12月10日 23:42
ともさん
本はいかがでしたか?
概要を追いながら、みんなで意見出し合ってもいけたら面白いな、
って思います。
「私は~したい」って今まで言ってこなかった人が、そう考えるようになることって
結構勇気がいるし、本当にそれがうまく行ったという経験によってしか自信もついていかない、根気のいるところですよね。
そういう経験談なんかも、流れの中で出てきたら面白い、って思います。
よかったらまたご意見聞かせてください^^
投稿者: ノラ | 2007年12月10日 23:43
nikonikoosinn さん
重複投稿になりやすくてごめんなさい><
サーバーの方の問題なんです
摂食障害の人は性行為への依存とか窃盗癖とかを持っているケースがあるというのは
有名どころでは斉藤学さんあたりからすでに言われているんですよね。
この本では制限型の拒食症には殆ど関係ないとされていますし、私もそう思います。
「この症状を持ってるから、これもこれも持つだろう」という考え方、というのは嫌ですよね。
人間というのは「人間」であって、「症状」ではないですものね。
「ダイエット」を標榜する産業は、たぶん基本的に全部詐欺ですね^^;
「効果があるから」成り立っている業界ではなく
「儲かるから」成り立っている業界ですもんね・・・。
投稿者: ノラ | 2007年12月10日 23:44
ミツキ@2.5 さん
異色なところへの食いつきありがとうございます(笑)
前作よりぐっと親しみやすい表紙になった、とは私も思っておりました^^
そう、確かに自分自身のことだと見えないですね。
というよりも、たぶん積極的に「目をそらす」んだろう、という気もしますが。
読んだら、よかったらぜひまた感想なんかもお伺いしたいです。
お忙しいそうで、ご自愛くださいませ^^
投稿者: ノラ | 2007年12月10日 23:45
トリちゃん
はじめまして。コメントありがとうございます。
なんだか、お気持ちよくわかります。
たぶん、トリちゃんだけのことではない、むしろ皆思ってることじゃないかしら?
誰に対して「自分の全てを知られるのが嫌」という思いを持っているのか、
ということもひとつ自分とその人との関係をあらわしてる指標かな、という気がするんですよね。
例えば「この人からいつも見られているような気がする」という人に対しては、
当然知られたくないよな、って思うんですよ。
また少し長い間にわたってこの本を紹介していくことになるので
そういうのも含めて、よかったらまたご意見聞かせてください。
投稿者: ノラ | 2007年12月10日 23:46