HOME過食症体験記>食べ物との普通のおつきあい、を取り戻すまでの物語2

食べ物との普通のおつきあい、を取り戻すまでの物語1より続いています。

限界がきました。
旅行が決まっていたので、それまではがんばろう、旅行中にエネルギーを充電してまたがんばろう、がんばれるはずだ、と思っていましたけれど、旅行に行く数週間前にすでに電池切れでした。
走れない日が増え、掃除も手抜きになり、夕食作りを放棄して夫に外食に連れて行ってもらうことも増えました。
外食に連れて行ってもらっている身では、玄米菜食にこだわることはできませんから、できるだけ肉は避けようとしながらも、ラーメンだのカレーだのも食べるようになりました。
民間療法の先生とも、徐々に疎遠になりつつありました。
調子が悪い時をねらったように連絡がきて、正直に状況を話すと怒鳴りつけられることが続き、電話が鳴るとびくっとして動悸がするようになりました。
大きな課題を与えられて、あっぷあっぷでこなそうとしていた途中、放り出す形で旅行に行きました。
ほんとうは旅行にも行くべき体質ではないと言われていて、行ったら何か悪いことが起こるかもしれないと不安を抱いたまま、まさかキャンセルするわけにも行かず、ボロボロのまま出発しました。

旅行中はかなり体調が悪く、「すごく楽しかった」とまでは言えません。
そのなかでいちばん感動したことは、食欲に従って食べれている、というこでした。
外国にまできて、ほんとうに二度とこないかもしれないし、めったに食べられないから食べよう、と無理するでもなく、これは「なんでもないもの」だから、ほんとうに貴重なものに出会うまで「空腹を取っておこう」とするでもなく。
お腹がすいたら食べて、すいていなかったら味見程度にとどめて、というのがやっとできたなあと。
かなり若いころに摂食障害にかかったので、ずっとそういうの、できなかったのです。
考えてみれば摂食障害にかかってから、いったん治ったつもりでいたものの、食べ物との関係はかなり無理がきていたんだなあと納得しました。
「食べたいから、食べる」という素直さを失って、すでに15年以上が経っていました。

帰ってきました。
民間療法の課題は見切りをつけて提出しました。
帰ってきても「充電されて元気になって家事もランニングも・・・」というわけにはもちろん行きませんでした。
玄米も炊けないことが増えて、外食に頼る割合が増えました。
やらなきゃ、でもできない、葛藤するうちに、友人何人かに話を聞いてもらいました。
民間療法を取り入れてから疎遠になっていたカウンセラーとも連絡を取りました。
夫にも相談しました。
「家事とかランニングとか、やってみればできるのに怠けているだけかなあ」
「その発想自体が鬱だ」
「ちゃんと生活してたら調子よかったんだけど」
「それは調子がよかったからできたんだ。順序が逆」
連絡を断つように言われました。
時間はかかりましたけれど、そのようにしました。

マクロビオティックを始めてから行かなくなっていたパン屋に行きました。
天然酵母をうたっていない以上添加物の固まりのはずで、そもそも精白された小麦粉でできているパンなんて、と、行かなくなっていたのです。
しかし、さんざん外食して動物性も砂糖も摂取して、「マクロビオティックって言っても今の状況では何をいまさら、という感じだよね」と思い、ふらふらと立ち寄ったのです。
以前から好きだった、クロッカンというパンを買いました。
デニッシュ生地にくるみのカラメル和えが乗って、砂糖までかけてあるという、激甘のパンです。
2個食べると頭痛がします。
値段を見ると、189円でした。10個買っても1890円。2000円しないのです。
2000円を、楽しみのために支出できないほど給料が少ないとは思えません。
10個はとても食べられないので2個にしました。
他の、好きだったけど食べないことにしていたパンも買いました。
1000円行かなかったはずです。
そっか、1000円なら、もしも捨ててもそんなに惜しくないな、と思いました。選んで買って満足する、そこまでの娯楽費に1000円でも許す、そう思いました。

帰って包みを開けて食べ始めました。
2個目のクロッカンを食べている途中に、なくなったら終わりか、さみしいなあ、という思いがよぎりました。
なくなったらまた買える、という事実に思い当たりました。
189円ですから。
そして、スーパーは24時間営業で、パン屋も10時~20時くらいの営業時間です。
そしてスーパーはわたしの家から歩いて10分程度です。
また買いに行けばいいのでした。
あと3分の1個、というところで体の中に甘さが飽和して、残すことにしました。
目についたときに欲しくないのに食べそうだから、生ゴミ処理機に放り込んでしまいました。それでも食べたければまたスーパーに行こう、そう自分に言い聞かせて。

別の日に、チップスターが食べたくなりました。
昔8分の5チップというお菓子があって、あれも好きでした。
要するに、成形系のポテトチップスですね。
なんで食べたいのかはよくわからないし栄養がないのもほぼ確実、カロリーも高い。某所で「デブフード」とすら言われているのも知っています。
でも食べたいのでスーパーに寄って帰りました。じゃあスナック菓子を心ゆくまで食べよう、と、ギザギザポテトやらとんがりコーンやらカシューナッツやらも買って帰りました。
チップスターは大きいのを2タワー買いました。奮発してペリエも買って、たぶん2000円行きませんでした。
帰って意気揚々と食べ始めて、確かチップスター半タワーと、とんがりコーン4分の1袋くらいが残りました。
また食べたくなれば買いに行こう、買って食べればいいよ、と、生ゴミ処理機に放り込みました。
気持ち悪くなって吐きました。
吐き始めると全部浄化したくなって手を突っ込んで吐きました。
ペリエも飲んで吐きました。
吐きたいならしょうがない、痩せたいのもあるし身体から出したいのもあるし、要するにストレス解消という面もあるのだろうしよくわからないけど、吐きたいんだからあきらめました。掃除はしておきました。

その後、チップスターが食べたくなったりドリトスを続けて食べたりしました。
残せるようになった自分に感動しました。
そして、わたしが食べたいと突然思いつくようなものは、近くのスーパーで24時間調達可能で、そのためのお金くらいはじゅうぶん出せるのでした。
アーモンドチョコレートが食べたくなったこともあります。プレミアムクラッカーを食べ続けたこともあります。
気がついたら、リンゴを食べ続けたり、キャベツを食べ続けたりもするようになっていました。「『身体に悪くない』ものも、無性に食べたくなることってあるんだなあ」と、新鮮な驚きでした。
身体にいいものは、食べたくないけど仕方なく食べるものだとずっと思っていましたから。
身体に悪いものこそがおいしいものだと、そして、そうとしか思えないわたしは、「ジャンクフードなんておいしくないよね」と真顔で語る美しい友人達に比べたらかなりの劣等人種だと信じていましたから。

食べ物との普通のおつきあい、を取り戻すまでの物語1
食べ物との普通のおつきあい、を取り戻すまでの物語2
食べ物との普通のおつきあい、を取り戻すまでの物語3

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